バイアグラは世界的な製薬メーカーであるファイザーによって製造販売されています。
開発当初は狭心症のために使用することを目的としていましたが、勃起の障害となる酵素の活性化を阻害する効果が認められて世界的にED治療の薬として承認されています。
このような勃起障害に適用できる医薬品はファイザーが発売したバイアグラが初めてでした。
アメリカで承認されてから20年弱が過ぎてもED治療薬としての効果が認められ長期にわたって多くの患者に利用されています。
男性の多くの人が悩む疾患だけに服用することで効果が得られるため画期的な医薬品です。
適用には注意が必要なのでバイアグラの適切な情報を理解している医療機関によって処方されます。

シルデナフィルをED治療に利用する

シルデナフィルの研究開発している人バイアグラはEDの治療薬として一躍有名な医薬品となりました。
その主成分はシルデナフィルクエン酸塩です。
シルデナフィルの開発は最初からED治療を目指したものではありませんでした。
1990年代前半に狭心症の治療薬としてシルデナフィルの研究開発を始めました。
医薬品は有効性や安全性を確認するために様々な試験を必要とします。
試験所などでの確認を行い、動物などによる試験を行って人に使っても安全であることが確認されたのちに臨床試験が行われます。
臨床試験はボランティアの人によって行われる有効性や安全性の確認試験です。
シルデナフィルも狭心症の臨床試験を行いましたが、その治療の有効性を確認することはできませんでした。
臨床試験はシルデナフィルを被験者に渡して定期的に服用してもらうことで行われました。
バイアグラの製造先であるファイザーは有効性が確認できなかったため臨床試験の中止を決定しました。
試験の中止に伴い、被験者に渡したシルデナフィルの使用していない分の返却を求めたところ、返却したくないと言う被験者が多くいました。
狭心症に効果のない薬を返したくないと言うのは異例なため理由を確認したところ、狭心症の初期症状の被験者として参加していた若い男性の間で陰茎の勃起を促進する作用があるからとの回答をえることになります。
そのためその効果を確認する開発が始められることになります。

狭心症の治療薬からED治療薬となった理由

シルデナフィルの治療目的を狭心症から勃起不全に切り替えてから効果を試すためにさまざまな臨床試験が行われました。
まずは探索的試験として3ヶ月以上勃起不全を患っている男性で、特定のパートナーと半年以上の性交渉があり、試験期間中に2週間に1回以上のペースで性交渉ができることを参加の条件としました。
シルデナフィルの有効性は「挿入の頻度」及び「勃起の維持」をスコア化して確認しています。
投与量を変えて確認した結果、25mg程度でも十分な効果が得られることがわかりました。

その後、全く効き目のないプラセボ薬との比較試験を何回か行うことで有意差が示されて有効であることや安全性が確保できることが確認されることとなります。
ファイザーがヨーロッパで292名に対して行なった長期投与試験では、シルデナフィルを投与した後で87.7%に「勃起の改善」が認められ、90.5%がこれからもシルデナフィルの投与継続を希望しました。
継続したい理由を確認したところ7割が「勃起時の陰茎の硬さが増大するため」、6割が「勃起持続時間が長くなるため」、約半数が「勃起回数が増大するため」と言うことでした。
安全性についても重篤な事象は認められませんでした。
このような結果からファイザーはシルデナフィルの効果を認めて、バイアグラとしてED治療薬として承認を得ることとなります。
当時は他に同様の効果を得られるものはなかったため、画期的な治療薬として有名になりました。

シルデナフィルの作用機序

勃起は、血液が陰茎に集まることによって起こります。
陰茎の中は海綿体がほとんどです。
海綿体は空洞状の集合体で普段は何も満たされていないため柔らかくつぶれた状態です。
性的興奮状態になると血流が流れ込み空洞部分が満たされて硬さを保ち、勃起した状態となります。
勃起していないときは陰茎の根元にある海綿体平滑筋が血液が流れ込まないようにしています。
性的刺激を得たときに海綿体平滑筋が弛緩して血流が海綿体の空洞内に流れ込んで貯留して充血した状態になります。
海綿体平滑筋にはNO作動性神経と呼ばれるものが分布しています。
NO作動性神経は一酸化窒素を神経伝達物質としていて、性的刺激があることによって一酸化窒素を放ちます。
放たれた一酸化窒素は平滑筋の細胞の中でグアニル酸シクラーゼと呼ばれる酵素を活性化します。
酵素の活性化によって環状グアノシン一リン酸であるcGMPを増加させて平滑筋を弛緩します。
cGMPは酵素であるホスホジエステラーゼの一つPDE-5によって分解されます。
PDE-5はcGMPを分解することで細胞内濃度を調節しています。
生活の中で常に勃起している状態でいるわけにはいかないのでPDE-5がcGMPを分解することで萎えた状態を維持しています。
性的刺激を受けて勃起すべきときに海綿体平滑筋の弛緩が得られないと萎えた状態のままや十分な硬さが得られない状態になります。
それはPDE-5がcGMPを分解しすぎていることやcGMPの分泌が十分でない恐れがあります。
それが勃起障害のEDの器質的な原因の一つです。
この原因を断つことができれば改善することができます。

勃起不全であるEDの治療薬として使われるバイアグラの主成分であるシルデナフィルは、この海綿体平滑筋の動きに作用します。
十分な硬さの勃起に必要な血流は海綿体平滑筋によって抑えられています。
PDE-5がcGMPの濃度を調整していることで弛緩の程度が決まります。
性的刺激を受けたときに平滑筋を弛緩して血流を得ることで海綿体空洞を満たすはずが、PDE-5の活性化や十分なcGMPの分泌を得られないことで障害となります。
シルデナフィルはPDE-5の酵素活性を抑制する効果があります。
PDE-5が過剰に活性化しないことでcGMPが分解されなくなります。
cGMPの濃度が上がることで海綿体平滑筋が十分に弛緩した状態にすることができます。
海綿体平滑筋が弛緩したことで血流は海綿体の空洞に流れ込み陰茎に満たされ勃起します。
蛇口が解放された状態と同様になるので海綿体の空洞がもっとも満たされた状態になります。
つまりこれ以上は硬くならない程度まで満たされます。
シルデナフィルの効果によって弛緩は維持されるので性交に十分な時間で硬さを保つことができます。
これがED治療薬として利用されるバイアグラに含まれるシルデナフィルの作用機序です。

シルデナフィル配合のバイアグラについて

バイアグラはシルデナフィルを主成分としたED治療薬です。
1998年にアメリカで発売され、画期的な医薬品として世界的な話題となりました。
日本でも1999年に同様のバイアグラとして承認を得て発売されることとなりました。
バイアグラの名前の由来には生き生きとしたと言う意味のバイタルとナイアガラのように激しく流れ落ちるイメージを掛け合わせたと言う説とインドのタージ・マハールがある街の名前である「アグラ」からつけられたとする説があります。
タージ・マハールは300人もの妃を持ったインドの王様にゆかりのある建造物であり、その精力絶倫さにあやかって街の名前の「アグラ」からバイアグラにしたとされています。
国内で承認されたバイアグラは、診療や検査によってEDと診断されることで処方されます。
バイアグラの処方は医薬情報担当者からバイアグラの主成分であるシルデナフィルの作用機序や適用の注意、バイアグラを服用した時の副作用などについての説明を受けて専門知識を習得した泌尿器科や一般内科などの医師が患者に対して問診と血圧測定などの生理的な検査を行なって、EDであると確定する必要があります。
これは副作用をただしく認識することや適用患者の確認をする安全性確保のために行われます。
海外で承認されているバイアグラは、100mgですが、国内で承認されて流通している錠剤は25mgか5mgとなっています。

バイアグラはEDの治療薬として承認されましたが健康保険による診療報酬制度にはなじまないとの判断から自由診療での取り扱いとなっています。
そのためバイアグラの価格は各医療機関で決めることができるためまちまちです。

バイアグラの効果的な服用方法について

バイアグラの服用方法は、性行為を行う1時間前に飲みます
食事をした2時間以内に飲むと、十分な効果が得られないことがあります。
空腹時に服用して30分ぐらいしてから食事を取ると効果的です。
肉料理などの脂肪分が多く含まれているものや油を多く使った料理は消化に時間がかかるため、バイアグラを服用するときにはあっさりとしたものを選んだ方がいいでしょう。
また過度のアルコール摂取は効果が得られないばかりか悪影響を及ぼす恐れがあるので避けた方が安心です。
適量であればリラックスする効果が期待できるのでおすすめです。
バイアグラを服用したあと30分ぐらいで効果が現れ、その後5時間から6時間は持続します。
バイアグラの主成分であるシルデナフィルは性的興奮を高める効果はなく、勃起に至るメカニズムに作用して十分な血流とその持続を促します。
性欲を高めることはないため、勃起するためには性的刺激が必要です。
そのため通常の性行為に大きな影響与えることはありません。
バイアグラはEDが原因となって勃起しない、または勃起が性交中に維持できない症状のある方で器質的な原因で発症している場合に効果が期待できます。

シルデナフィルの副作用

バイアグラの主成分であるシルデナフィルの作用機序は、酵素の活性化を阻害して海綿体平滑筋を弛緩し、海綿体へ血流を促すことです。
その副作用については国内における臨床試験によって確認されました。
特に重大な副作用となるものはありません。
副作用とは期待した効果以外に体に影響を与える作用のことで、医薬品の期待していない効果になります。
ボランティアによって行われる臨床試験によってその発現が確認され、承認審査時に確認されます。
シルデナフィルの摂取による副作用については、国内で行われた157名を対象とした臨床試験で65例に認められています。
全体の約10%にあたる人に血管拡張によるほてりや紅潮、頭痛などが見られました。
海外で行われた臨床試験でもほぼ同様に血管拡張や頭痛といった症状が見られています。
そのほかに消化不良も認められています。
もともと血流を良くすることが期待されている医薬品のため、その作用が他にも出ていることで血管拡張などからほてりを訴えたり、血流の増加による頭痛が感じられるケースが多くあります。
そのためほとんどの場合でシルデナフィルの効果が切れる頃には改善に向かいます。
その他勃起が治らない持続勃起症を訴えるような副作用も見られます。
強制的に勃起が促されることから陰茎組織損傷、勃起機能の喪失などの重い副作用になることもごく稀にあります。

また、同じく稀に発症する副作用して光過敏症があります。
視界がまぶしく感じたり、目が充血しているなどの症状がそれにあたります。
異常を感じたらすぐに医療機関を受診する必要があります。

シルデナフィル服用に注意が必要な人

シルデナフィルの副作用によって障害を受けないようにバイアグラを服用してアレルギーを起こした人や心血管系障害で性行為ができないと診断された人、重症の肝臓病の人、低血圧や高血圧のなどの血圧異常の人、脳血管に病気のある人、心筋梗塞を起こした人には服用しないように注意喚起がなされています。
また、目の疾患である網膜色素変性症と診断された人もシルデナフィルは服用しないようにとされています。
多くの副作用が重大なものには至らないことが確認されていますが、シルデナフィルの作用がどのように影響するかは体型、健康状態、既往症などによって変わってきます。
個人の判断で服用した場合、どのような副作用があるかわかりません。
そのため医師の診断のもとで処方される必要があります。
シルデナフィルの作用機序は、狭心症の治療に用いられるニトログリセリンなどの硝酸エステル系薬剤に似ています。
そのため狭心症で硝酸剤を利用して治療をしていたり、不整脈などで抗不整脈薬で治療を行なっている人は同じ作用を追加で行うことになり効果が強く出ることで血圧が危険なレベルまで下がることもあります。
これらの治療を行なっている人はシルデナフィルの服用を避ける必要があります。